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今週のドクターコラム

No.114
口から始まる病

最近日本で、口の中の「あるもの」が大きな病に繋がるという発表がありました。大きな病とは、日本で年間11万人の死者を出している肺炎です。

では、あるものとは何でしょうか?
実は意外にも唾液の変化が原因であるということが分かったのです。

ドライアイならぬ、ドライマウスという病気があります。唾液が出ず、口が乾く病気で、予備軍を含めると日本人の4分の1、約3,000万人がこの病にかかっていると言われています。ドライマウスは神経質になっている時や、疲労、ストレスが溜まっている時になりやすいほか、血圧降下剤の副作用や糖尿病症状であることもあります。

環境、食生活の変化により心身のストレスが多い海外駐在員の皆様は、日本より潜在患者数が多いかもしれません。ドライマウスは女性に多く見られますので、奥様を帯同されている出向者の方は注意してみてください。

ドライマウスの症状は以下のようです。

・虫歯が増える(これが一番多い!)
・唾液が出ない
・口の中が乾く
・口内が痛む
・口角炎ができる
・口が乾いて会話が長く続けられない
・食べ物がうまく飲み込めない
・舌や唇がひび割れる
・口の中がねばねばする
・味がよくわからない
 
この症状から推測されるように、ドライマウスになると食べることが億劫になり、ドライマウスを発症してから栄養不足に陥ることも少なくありません。
 
では、ドライマウスは、どのように肺炎と関係してくるのでしょうか?
最近の研究によって、ドライマウス、すなわち唾液量の減少は、唾液の質を変化させることが明らかとなりました。唾液には、歯を修正するなど様々な働きがあります。なかでも重要なのが、抗菌力。この抗菌力が、なぜか唾液量の減少とともに低下してしまうのです。唾液の多い人と少ない人とで、抗菌力の差を調べたところなんとその差は2倍以上!
 
そのため
 

唾液量の減少、唾液の質の変化

抗菌力の低下

抵抗力の低下

風邪などの気道感染症

肺炎
 

 

ドライマウスは、免疫力を下げ、健康状態を悪化させます。だから一見関係なさそうな肺炎になりやすくなるのです。
 
ドライマウスかな?と思う方は、加湿器を用意しましょう。睡眠中の部屋の乾燥は大敵です。レモンなど柑橘系のものを噛んで唾液を出すようにすることなども効果的です。そして禁煙。たばこは口や気道の粘膜を傷めます。
 
いかがでしょうか?皆様も時々「お口の健康」を意識みてください。


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