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今週のドクターコラム

No.193
おなかにくるストレス

 ストレスを感じると、おなかが痛くなることはありませんか? 突然の便通を覚え、通勤途中などでトイレにかけこんだことはありませんか?
 大事な場面においてそういった経験が多く思い当たる場合は、「過敏性腸症候群」の表れかもしれません。

 「過敏性腸症候群」は、ストレスが原因となって腸の異常な運動を引き起こす病気です。英語の「Irritable Bowel Syndrome」の頭文字を取って「IBS」とも呼ばれます。
 IBSの特徴は、大腸や小腸に物理的な異常が見つからないのに、便通の異常や腹痛が起きることです。
 便通の異常としては、下痢・便秘、あるいは両者の混合が見られます。また、おなかにガスがたまることもあります。さらに、食欲の低下や気分の落ち込み、吐き気など、腸とは違う部分での異常を訴える場合もあります。


 IBSに苦しむ患者の多くは、10〜30代です。国内の推定患者数は1200万人にも上るといわれており、日本人の5〜10人にひとりはIBSにかかっているとする推計もあります。
 ストレスが原因となるため、転勤や留学などで生活環境が変わることでIBSが発症するケース人も少なくありません。過労や疲労なども、IBS発症のきっかけとなりえます。
 また、自律神経の異常によってIBSを発症する場合があることも分かっています。


 ストレスを感じたことが脳に伝えられると、脳は腸内にセレトニンという神経伝達物質を分泌させます。そのセレトニンが過剰に分泌されることで、腸の異常な運動が引き起こされ、腹痛や便通の異常が表れるようになります。これが繰り返し起こるというのが、IBSの仕組みです。
 病気の基本的な仕組みが分かっているため、IBSには厚生労働省による明確な治療ガイドも作成されています。

 しかし、IBSについての一般的な認知度は、まだまだ低いのが現状です。国内では大手製薬会社のアステラス製薬が積極的な啓蒙活動を展開していますが、IBSであることを自覚せずに市販の整腸剤や下痢止めなどで対処している人も多いようです。

 IBSは市販薬の摂取や自己流の対処では改善しない病気です。医師の診断と適切な治療によって、ストレスがあっても症状を抑えられるようにもなります。

 また、腹痛や便通の異常はIBSによって生じるばかりとは限らず、ガンなどの重篤な病気の表れである可能性もあるので、自己診断は非常に危険です。

 頻繁に腹痛を覚えたり、便通の異常が生じたりする場合には、まず担当ドクターに相談してみましょう。


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