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今週のドクターコラム

No.200
熱くないやけど

  寒い季節や冷房の効きすぎた室内など、ちょっと暖を取ろうと使い捨てカイロや電気毛布、足温器などの小暖房器具を使った結果ひどいやけどを負ってしまうことがあります。これらのやけどは、火によるやけどとは違い、熱さをあまり感じないままやけどを追うため、「低温やけど」と呼ばれます。
低温やけどは、体温より少し高いくらい〜60℃(玉露などぬるめの緑茶)程度の温度で生じます。低い温度の熱源に長時間接することが、やけどの原因となるのです。

火の元で生じるやけどの多くは、台所で熱した鍋など高温の物体に直接触れることで起きます。熱源が高温であるために、人は「熱い!」と危険を感じ、すぐに体を熱源となる物体から離します。
しかし低温やけどの原因となる熱源は、心地よいと感じる温度に近いために危険性を感じにくく、気づいたときにはやけどが進行・重症化しがちです。
低温やけどの特徴として、見た目以上にやけどが進行しているということがあります。皮膚の表面がちょっと赤くなっているだけに見えても、皮膚の内部が壊死しているようなケースもあります。ゆっくりと熱せられるために皮膚の奧深くにまで熱が達する可能性が高く、通常のやけどのように水をかけて冷やす応急処置の効果が望みにくいので注意が必要です。また、水膨れをつぶしたりやけどの上に何かを塗ったりすると雑菌がはいり、感染症を起こす危険性もあります。
「低温やけどかな?」と思ったら、炎症や感染症をいち早く抑えるためにも、迷わずに担当ドクターにご相談ください。

体の中でも特に低温やけどを負いやすい個所は、足です。感覚が鈍く、血流も滞りやすいので、就寝中の湯たんぽやカイロの使用、ホットカーペット上やコタツでの睡眠で足に低温やけどを負う例も増えています。特に疲労が溜まっている場合や飲酒時の睡眠は、熱さなどの刺激に対する反応が鈍くなりがちです。
 湯たんぽや電気毛布などは体自体を温めるというより、布団を温めると考えながら使用することで、低温やけどのリスクを軽減できます。睡眠時は、電気毛布などの電源は落とし、湯たんぽやカイロは肌に直接触れないようにしてください。

また、近年はノートパソコンによる低温やけどにも注目が集まりました。ノートパソコンは予想外に高温になりますし、熱中していると高温の機械が体に接していることを忘れがちです。できるだけひざの上などに直接ノートパソコンを置かないことや、ノートパソコンに顔を乗せたままうたた寝をしないように注意してください。

低温やけどは、見た目以上に重症である場合がほとんどで、治療に何か月もかかることも少なくありません。日ごろから予防に努めると同時に、「低温やけどかな?」と思ったらすぐに担当ドクターに相談するようにしましょう。


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