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今週のドクターコラム

No.174
大人も子供も「あせも」に注意!

一般的に「熱中症」と並んで、夏に気をつけたいと思われているのが「あせも」です。「あせも」は、皮膚に赤い小さなぶつぶつができ、かゆみがともなう皮膚の病気です。(赤くもかゆくもならない「あせも」もあります。こちらは症状が軽いので、あまり気にならないうちに治る場合が多いようです。)子どもは頻繁に「あせも」ができるイメージがありますが、おとなにも「あせも」はできます。(子どもは大人よりも汗をかきやすいので、大人よりも「あせも」になりやすいことはわかっています。)

 あせもは「汗疹」と書き、その字が示す通り、汗が原因となって疹(ぶつぶつ)ができる病気です。そのため、汗をかく人であれば、誰でも「あせも」ができる可能性があります。「あせも」は汗を大量にかいたときにできることがほとんどですが、肌の汚れや日焼けなどが影響することもあります。

 もともと汗は、皮膚の深いところにある汗腺分泌され、「汗管」と呼ばれる管状の組織を通って体の表面にある出口(汗孔)まで排出されます。ところが、その出口が何らかの理由でふさがっていると、汗は本来の出口以外のところから外に出ようとします。出口を失った汗が皮膚の下に広がってしまうことで、炎症や水ぶくれが起き、「あせも」になるのです。

 この「何らかの理由」は、大量の汗をかいたことによって汗自体が汗の出口をふさいでいることがほとんどです。場合によっては、汚れで出口がふさがれて「あせも」を引き起こすこともあります。

 「あせも」ができやすい場所は、汗が乾きにくい場所です。ひじの内側やひざの裏側などはよく知られていますが、頭や首、お尻なども「あせも」ができやすい部位です。ばんそうこうや湿布などで皮膚の表面を覆っている場合も、「あせも」になりやすいといえます。生理中の女性や乳幼児、介護を受けている老人など、長い時間ナプキンやおむつで覆われる部分がある人も注意が必要です。

 しばらくすると自然治癒することの多い「あせも」ですが、ステロイドを使用して症状を抑えることが早期治癒につながります。症状がひどい場合は、早めに医師に見てもらうようにしましょう。

 予防には、汗をこまめに拭き、肌を清潔に保つことが一番です。よく汗をかき、皮膚に汚れが付着しやすい夏場などは、こまめにシャワーを浴びたり、こまめに汗をふき取ったり、通気性のいい服を着たりすることが「あせも」予防につながります。

 「あせも」は、大量の汗をかきやすい夏だけ注意すればいいと思われがちですが、冬でも油断はできません。また、寒い国や地方などでも、外気と部屋の気温差が激しい時など汗を過剰にかく条件さえそろえば、「あせも」はできます。汗をかきやすい人や、あせもで苦しんだことがある人は、特に気をつけるようにしましょう。


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