ホーム > 今週のドクターコラム

今週のドクターコラム

No.203
骨折の基礎知識

   日常的な事故によって生じるケガのひとつに、骨折があります。身近に骨折をした人がいる人はもとより、自身が骨折の経験を持っている人も多いことでしょう。

 骨折の原因は、骨に対して体の外部から大きな力が加わることです。
日常の動作で言えば、転倒や衝突、あるいは転落や交通事故などによって骨に過度の負担がかかることで骨にひびが入ったり折れたりします。ひびが入った場合も、折れた場合も、どちらも同じように「骨折」と呼びます
 冬の雪場や夏の砂浜など、ふだんとは違う足場を歩いたり、慣れない履物で歩いたりすることで、骨折のリスクは高まります。


 骨折の種類としてよく知られているものに、単純骨折複雑骨折があります。
単純骨折というのは、皮膚が破れていなく、骨折部位が体の外に出ていない場合を指します。
複雑骨折というのは、皮膚が破れていて、骨の治療以外に感染症への対応も必要となる場合を指します。骨折そのものが複雑なのではなく、処置が複雑なのです。
折れた骨が複雑に砕けてしまったような場合は、粉砕骨折と呼ばれます。

 スポーツをしている人などは、はく離骨折疲労骨折にもなじみがあるかもしれません。はく離骨折は腱や靭帯から骨がはがれた状態で、疲労骨折は特定の部位に力が繰り返し加わることで起こる骨折です。
 その他、加齢とともにリスクが高まる圧迫骨折骨粗しょう症性骨折、感染症や腫瘍によって引き起こされる病的骨折などもあります。


ほとんどの骨折は痛みを伴い、皮膚の下で起きる単純骨折でもしびれや痛み、腫れや内出血などの症状が見られるため、比較的早い段階で医療機関を受診する人がほとんどです。
しかし、痛みを感じにくい部位の骨折やひび程度の軽い骨折だと、気づかずに放置されることも少なくありません。

気をつけたいのが、骨折には後遺症の可能性があるという点です。「ひびぐらい」と軽く考えていると、骨折によってずれた骨がそのまま固定されてしまい、血管や神経などを圧迫してしまう危険性もあります。その結果、大規模な手術が必要になったり、関節が動かせなくなったり、慢性的に痛みが続くことになったりすることもあるのです。


 骨折は、適切な処置をすることでほぼ確実に治ります。骨折する部位や骨の状態(年齢や骨密度など)によっても異なりますが、数日から数か月の治療期間が要されます。リハビリが必要になることもあります。
医療機関からのアドバイスに従い、適切な処置を怠らないようにすることが大切です。

 リゾート地へ出かけた後やスポーツを楽しんだ後、慣れない靴を履いた後や普段とは違う運動をした後などに痛みやしびれが生じたらそれは骨折のサインかもしれません。早めに担当ドクターまでご相談ください。


ご相談はこちらから

カテゴリ



バックナンバー