No.7
高脂血症
今回のコラムは 「高脂血症」
その名の通り、血液中にあるアブラ(脂質)が高くなっている状態を「高脂血症」といいます。
■血液に含まれる脂質は主として次の3種類に分類されます。
[1] 中性脂肪 (トリグリセリド)
→ ヒトの身体には何種類もの細胞が存在します。
中性脂肪はその中でも脂肪細胞という細胞に取り込まれます。
その後必要に応じ、脂肪酸という形を介してエネルギーに変わります。
脂肪細胞は身体の多くの部分に存在し、取り込む中性脂肪の量により数倍から数百倍にも容積を変えることができます。
このため、カロリー摂取の過多が続くと脂肪細胞が巨大化します。
結果として、「お腹が出ちゃったわ」といった事態になってしまうのです。
[2] コレステロール
→ ステロイド、胆汁といった重要な分泌物の原料になります。
また、細胞の膜(細胞膜)を構成する主な物質の一つです。
[3] リン脂質
→ これも細胞の膜を構成する物質です。
水に溶けにくい物を水になじませる作用があります。
この作用により、他の脂質を体内で運搬する係りを担います。
このように、脂質は身体にはなくてはならない重要な物質です。
健康な人は、血液に含まれるこれら脂質の量がほぼ一定に保たれています。
しかし、栄養過多の状態や、特定の病気を患うことにより、この脂質が血液の中で過剰に増えてしまうことがあります。
これが高脂血症です。
■高脂血症を放置するとどうなるの?
高脂血症は「サイレントキラー」と呼ばれることがあります。
それは自覚症状があまり出ないにもかかわらず、そのまま治療せずにいると重篤な病気に発展する危険性を持っているからです。
自覚症状がないからといって、そのまま放っておけば、やがて血管の壁に脂肪が過剰に蓄えられてゆきます。
これが、いわゆる動脈硬化の状態です。この状態では、血管の内径が脂肪により狭まり、血管が詰まりやすくなります。その結果、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの病気が引き起こされてしまうことがあります。また、脂肪肝や急性膵炎、胆石などの病気になる危険性も上がります。
■高脂血症は男性に多い?
30代の男性のほぼ二人に一人が高脂血症だといわれています。このため、確かに「高脂血症は男性の病気じゃないの?」と思われる女性の方々は多いと思います。しかし、女性は50代から、男性同様、ほぼ2人に1人が高脂血症の状態にあると報告されています。女性の方が男性と比較して高脂血症になりにくい理由の一つに女性ホルモンの影響があげられます。女性ホルモンの一種であるエストロゲンが血液中の脂質を正常に保つ作用をもっているからです。しかし更年期を過ぎるとこの作用が弱まり、血液中の脂質が高まりやすくなります。ただ注意が必要なことは、先ほども述べたように脂質はヒトにとって必須の栄養素です。血液中の脂質が過度に低いと身体に様々な不調を来たします。特にダイエットを試みている方々はこの点にも気をつける必要があります。
高脂血症が男性だけでなく、女性にとっても無視することのできない重要な病気であることがおわかりになりましたでしょうか?
脂質を含んだ食品の食べ過ぎや極端なダイエットには十分注意しましょうね!
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