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今週のドクターコラム

No.209
お酒が脳を衰えさせる

 海外生活は、思っている以上のストレスに見舞われるものです。人間関係や生活習慣の違いはもちろん、温度や湿度、食材など、心身ともにストレスを受けがちです。

慣れない地での手軽なストレス発散のひとつに、お酒を飲むことがあります。日本人はもともとお酒を飲んで憂さを晴らすという習慣がありますし、家での飲酒は個々人の自由に任される部分が大きいため、ストレス解消に直結すると思われがちです。

実際に飲酒にはストレス解消の役に立つ面もありますが、忘れてならないのは飲酒に大きな落とし穴があることです。

過度の飲酒は胃腸や肝臓の機能障害を引き起こす恐れがあることは、周知の事実です。また、口腔ガンや食道ガンなどガンのリスクが高まることも知られてきています。しかし何より恐ろしいのは、飲酒によって脳の萎縮が引き起こされるということです。

慢性的に大量のアルコールを摂取するアルコール依存症患者において、加速的な脳の萎縮が見られることはかねてから指摘されていました。

しかし、昨今明らかになってきたのが、アルコール依存症患者ほど大量に飲酒しなくとも、日常的に飲酒を続けている人にも脳萎縮が見られるという事実です。

12合以上の(ビールだと大びん2本程度)の飲酒で通常より10年早く脳萎縮が進行するという事実がさまざまな研究から明らかになっています。

 さらに、脳が萎縮することによって認知症のリスクが早まったり高まったりするという指摘もされています。

 もともと脳は加齢とともに萎縮します。しかし毎日2合以上の飲酒を続けていると、40代から脳の萎縮が始まるとされています。アルコール依存症患者の中には、30代で脳の萎縮が確認された例もあります。

 また、2030代に大量に飲んでいた影響が40代になってから脳の萎縮という形で表れたケースもあります。

 まだ若いからといって、無理な飲み方をしていると、まだまだ働き盛りの40代で認知症の症状を覚えたり、認知症とまでいかなくとも頭の回転がにぶくなったりする危険性は非常に高くなります。

 昨今では、40代・50代になってから再び海外赴任というケースも増えています。過度の飲酒は、職務をまっとうできないことにつながりかねません。

 また日本人の平均寿命は7080才です。飲酒による能萎縮の危険性は、人生の半分近くを棒に振ることになるということです。

飲酒の心身への影響については、いくら気をつけても気をつけすぎるということはありません。

 早い段階であれば、アルコールによって萎縮した脳が回復した例もあります。飲酒との程よいつきあい方については、担当ドクターにご相談ください。

 


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