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今週のドクターコラム

No.161
放射能について正しく知ろう~その2

放射線の単位

放射線の計測単位は、1989年(平成元年)まで、レントゲン、ラドなどが用いられてきたが、1989年以降は、放射線の総量はグレイGy、人体が吸収した放射線の影響度はシーベルトSvで表される。

グレイ
  グレイは吸収した放射線のエネルギーの総量(吸収線量)を表す単位である。表記はGyで、単位質量当りの物質が放射線によって吸収したエネルギーを表す。この単位はすべての物質、あらゆる放射線に適用される。
シーベルト
  シーベルトは放射線防護の分野で使われる単位。人体が吸収した放射線の影響度を数値化した単位として、現在ニュースなどでよく耳にするようになった単位である。

1シーベルト=1,000ミリシーベルト=1,000,000マイクロシーベルトである。
2011年3月13日12:00時点で政府が発表している「1時間あたり1,200マイクロシーベルト」という測定値は、1時間当たり1.2ミリシーベルトということになる。


ちなみに、放射線管理区域内での許容被曝量は年間50ミリシーベルト(50,000マイクロシーベルト)、放射線管理区域外での許容被曝量は年間1ミリシーベルト(1,000マイクロシーベルト)、胸部レントゲン1回の被曝は0.55ミリシーベルト(550マイクロシーベルト)、歯科のレントゲンでは3ミリシーベルト(3,000マイクロシーベルト)である


放射線防護とシーベルト

人体が放射線にさらされることを放射線被曝(ひばく)といい、人体は年間およそ2.4ミリシーベルト(世界平均)の自然放射線に常にさらされている。ごく微量の放射線では人体に影響を与えることはないが、大量の放射線は人体に有害である。特に、放射性物質を扱う環境にある人は、自分がどの程度の放射線を受けたのかを、常に厳密に管理しなくてはならない。その際に用いられる尺度の一つがシーベルトである。放射線を短期間に全身被曝した場合の致死線量は、5%致死線量が2シーベルト(2,000ミリシーベルト)、50%致死線量 (LD50) が4シーベルト(4,000ミリシーベルト)、100%致死線量が7シーベルト(7,000ミリシーベルト)と言われている。200ミリシーベルト以下の被曝では、急性の臨床的症状は認められないとされるが、長期的な影響については不明である。


放射線の身体に及ぼす影響

放射線が体の中の細胞に当たると、細胞の中にある遺伝子を構成するDNAが傷つき、その損傷が十分に修復されない場合に身体的な障害を起こす可能性が高まる。放射線を受けた場合にあらわれる障害には「確定的影響」と「確率的影響」と呼ばれるものがあり、大量の放射線を受けると細胞の損傷は自然修復不能となって、組織、身体に影響が表れる。これを確定的影響という。これはある一定量以上の放射線を受けると必ず発生するものである。これに対して確率的影響は、一定量以上の放射線を受けたから必ず発生するというものではなく、放射線を受けた量に応じて影響が起こる率が上昇するというもので、がんや遺伝的影響がこれにあたる。

 

つづく

 

放射線2


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