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今週のドクターコラム

No.192
顎関節症

顎の関節まわりで、異変を感じたり痛みが起きたり、口が大きく開けられなくなるのが「顎関節症」です。顎の異変によって生じていると気づきにくい症状に、頭痛や肩こり、耳鳴りや耳の痛みなどもあります。どこに痛みが生じるかは、その人の「顎関節症」の原因がどこにあるのかによって異なります。
「顎関節症」は単一の異変を表わすものではなく、顎に関するさまざまな異常を指す名称です。そのため、同じような症状であっても、原因によって対処法や治療法が異なります。

顎の構造として、顎関節の一部で口がスムーズに動く助けをする「関節円板」には、もともとズレやすいという特徴があります。
かみ合わせの悪さや片側に偏った口の使い方など、顎の筋肉や骨に悪影響を与えるような習慣が重ねられると、筋肉や骨にゆがみが生じます。
さらに、精神的なストレスも顎関節症の原因として無視できません。ストレスに起因する無意識の歯ぎしりや食いしばりは、顎の筋肉を余分な力で疲労させます。


軽度の顎関節症であれば、口の左右を均等に使って食べることや正面を向いた姿勢で食事を取ることを日々の生活の中で強く意識するだけでも、症状は軽減されることが少なくありません。また、口や首まわりだけでなく、全身で姿勢を正しく保つようにすることも、顎関節症予防や症状改善に役立ちます。
医師や技師の力を借りたより専門的な対処法として、軽度の場合にはマウスピースを使って顎関節の位置を固定させるという手法もあります。マウスピースを用いた対処法の例として、睡眠中などの歯ぎしりやかみ合わせの改善が挙げられます。
また整形外科的な手法としては、マッサージや電気的な刺激を通じて顎関節周辺の血流を改善したり筋肉の緊張を和らげたりすることもあります。

重度の顎関節症になると、顎関節や周辺の筋肉、骨などの手術が必要になる場合もあります。歯の矯正や調整(歯を削ったり差し歯や入れ歯を作ったりすること)が計られることもあります。顎関節症が重症化してしまうと、治療は長期化する傾向にあります。

異文化で暮らすということは、食生活の違いから顎の使い方が変わることや、精神的なストレスが生じやすいことなど、顎関節症のリスクを高めることにもつながります。
顎関節症を自覚した場合の受診科も、国や状況によって多少なりとも異なります。日本でも整形外科や口腔外科、矯正歯科などで受診が可能で、実際の治療にあたっては複数の分野にまたがった専門的な見解が用いられるのが常です。

「あごが鳴る」「口が開きにくい」「原因不明の頭痛や肩こりが続いている」など、顎関節症が疑われるような症状を自覚したら、まずは担当ドクターと顎関節症であるかどうかを確認してみてください。


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