No.213
海外赴任者から増える 「親の認知症」の相談 その1 「物忘れと認知症は違います」
ここ数年、海外赴任者から、ご両親の「認知症」についてのご相談が増えてきました。
「最近親の様子がおかしい」、「忘れっぽいし、とんちんかんなことを言う」など初期症状にお悩みのものから、既に認知症が進んで、ご兄弟や配偶者に面倒をみてもらっているが、症状進行が非常に心配になっているものまで様々です。
また、「病院を変えてあげたいが、どこかいい病院はないですか」というご相談も増えてきました。
通信手段がいくら発達したといっても、海外からご両親の健康状態を把握するのは容易ではありません。そばにいて何かしてあげられないだけに心配も一層募ります。
現在、日本で認知症と認定されているのは200万人とも250万人とも言われ、今後は増加が予想されます。80代を過ぎると10人に1人以上が認知症であるとの調査も。
これからもこの問題はますます大きくなっていくでしょう。
この機会に是非皆さんに認知症について正しい知識を持っていただきたく、今回コラムにとりあげました。
認知症とは、老化による「物忘れ」と違い、脳の神経細胞やネットワークの一部が死んだり壊されたりすることで脳の機能が慢性的に減退・消失していく病気です。
皆さんもご存じの徘徊や暴力などの様々な行動障害や幻覚やうつ症状などの精神症状が現れ、人格も崩れていきます。
年をとったなあ、と思って見過ごしてしまいがちですが、何より、周囲が早めに気づいてあげることで「進行を遅らせる」ことができるのです。
こうした病気の特性だけに、海外にいて、気づいてあげられなかったことに悩む方が多いのですが、海外にいてもチェックしてあげることはできます。
是非覚えて下さい!
認知症チェックのための基本3項目
1.昔のことではなく、すぐ前のことを忘れる
= 今話していることを忘れる
= 聞いたばかりのことを忘れる
= 何度も同じことを聞く
→ ご飯食べた? 今日、どんなことをした?
電話で、今日のことを聞いてみて下さい。
→ 日付けや時間がわからなくなる。
2.怒りっぽくなる、疑いやすくなる
→ ものをとられた(特にお金のこと)=モノ取られ妄想、
→ **さんに**を言われた(悪口を言われた、自分が**されている)
と被害妄想的な話が増える = 関係妄想
3.今まで出来ていた当たり前のことができなくなる
→ 道に迷ってしまった(場所ばわからなくなる)
→ 料理ができなくなった 作り方がわからなくなった(段取りができなくなる)
こうした症状に敏感に!!
ご両親のこうした症状に気づかれたら一度ドクターにご相談下さい。受診診療科や受診のさせ方などアドバイスさせていただきます。
ご相談はこちらから