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今週のドクターコラム

No.184
動脈硬化

動脈硬化とは?


 動脈硬化を原因とする心筋梗塞や脳梗塞は、日本人の死因の実に3割近いことが厚生労働省の調査からも分かっています。(ちなみに、過去20年以上にわたって日本人の死因第2位が心疾患、第3位が脳血管疾患となっています。)

 動脈硬化とは、文字通り動脈が硬くなることです。
 動脈は、心臓から送り出される血液を全身に運ぶ血管です。状況に応じて血液を心臓に押し戻すポンプのような働きをするため、動脈は強い弾力性と高い柔軟性を持った血管です。
 動脈の内側の壁にカルシウムや脂質が張り付くことで、血管の持つ弾力性と柔軟性が損なわれると同時に、血液が詰まる要因となります。古くなったゴムホースの内部に、ゴミや汚れが付着するのに似ています。


 脳梗塞や脳出血、心筋梗塞や狭心症、大動脈瘤など、動脈硬化は合併症を引き起こすことでも知られますが、動脈硬化自体にも種類があることはあまり知られていません。動脈硬化は、動脈壁に生じる病変のタイプによって、「アテローム硬動脈化」「細動脈硬化」「中膜硬化」という3種類に分けられます。

 「アテローム動脈硬化」とは、血管の内壁にアテロームという塊ができることで生じる動脈硬化です。アテロームとは、血液中の余分なコレステロールなどが蓄積してできる塊です。また感染症などに対する免疫系の働きがアテロームの形成にひと役買っているという説もあります。アテローム動脈硬化は中程度以上の太い動脈に生じ、動脈硬化の中でももっとも重要でもっとも多く見られる種類の動脈硬化です。

 「細動脈硬化」とは、末梢の細い動脈の硬化で、脳や腎臓の中などに見られます。「細動脈硬化」は、高血圧が長く続くことで引き起こされるとされています。

 「中膜硬化」とは、血管の内膜と外膜の間にある中膜に見られる硬化です。中膜にカルシウムが付着して起こるとされ、骨化した中膜が血管壁を破くような場合もあります。

 それぞれ状態や特徴に違いはあれど、どの種類の動脈硬化も動脈壁を硬くすることで血管破裂の危険性を高めることに違いはありません。心筋梗塞や脳梗塞の危険性を伴うので、動脈硬化に気づいたらすぐに状態の改善や治療を施す必要があります。


 しかし、動脈硬化は一方で特徴的な自覚症状がないという難点があります。少しの頭痛や肩こり、めまいや動悸・息切れ、耳鳴り、手足のしびれなど、他の疾患の症状と間違えやすい症状が現れます。気づかぬうちに進行した動脈硬化がさまざまな合併症を引き起こすことで、初めて医師の診察を受ける人がほとんどです。血液の状態は、検査で明らかにすることができます。

 動脈硬化の発症には、高血圧や高脂血症、高血糖、喫煙などの生活習慣が大きく影響しています。そのため、動脈硬化の予防には、生活習慣によって危険因子を除去することが重要になってきます。具体的には、日常的な運動、動物性脂肪控えめかつ食物繊維多めの食事が挙げられます。動脈硬化予防の具体策についても、詳しく知りたい方は担当ドクターにご相談ください。


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