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今週のドクターコラム

No.256
過労という状態を理解する(3)

 3回目は過労に陥りやすいタイプについてとりあげました。

 

 

2.過労状態に陥りやすいタイプ

 

疲労が生じやすい、あるいは疲労が蓄積して過労状態に陥りやすい程度には個人差があります。

同じ環境で同じ仕事をしていても、疲労を感じる従業員と感じない従業員がいるという実態はよくご存じだと思います。この個人差には、性格傾向と身体的傾向とがあります。

 

(1)性格傾向

 

性格傾向については、疲労が過度に蓄積しやすい、いわゆる「タイプA」と呼ばれる性格があります。

つまり、疲労は本来、達成感によって軽減するものですが、以下の傾向がある人については、限界を超えて活動してしまいがちで、疲労が過度に蓄積しやすいといわれているのです。

 

●過労に陥りやすい人の性格特徴

 

・向上心が高い

・努力家である

・粘り強い

・責任感が強い

・人の評価を気にする

・自尊心が強い

・劣等意識が強い  など

 

(2)身体傾向

 

一方、身体的な特徴によって、過労状態に陥りやすいタイプもあります。これには自覚できていない、あるいは一般の健康診断で見いだせない疾患が隠されていることがあります。例えば、前述のように、突然死は「問題となる疾患」が存在しないことが定義の一つですが、実際は、以下のようなさまざまな基礎疾患が原因となっているケースが多いことが明らかになっています。

 

①高血圧

収縮期血圧が160mmHg以上の人は、突然死の確率は7.4倍

 

②高脂血症

・総コレステロールが250mg/dL以上の人は、突然死の確率は2倍

・140mg/dL未満と低すぎても突然死の確率は2倍(あまり知られていないので、注意が必要)

 

③肥満

BMIが26.5以上の人は、突然死の確率は2.7倍

 

④糖尿病

糖尿病の患者は、突然死の確率は3倍

 

⑤高尿酸血症

尿酸値が8.0mg/dl以上の人は、突然死の確率は3.4倍

 

⑥心電図異常

不整脈がある人は、突然死の確率は3.7倍

過労死や過労自殺に至る心身の疾病については、過労だけが原因で発症するわけではありません。これらの「性格傾向」や「身体傾向」が疲労を蓄積しやすくするとともに、発症率を高めることになるのです(発症脆弱性)。

 

 つづく


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