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今週のドクターコラム

No.160
放射能について正しく知ろう~その1

2011年3月11日の東日本大震災により、福島第一原子力発電所で事故が起きた。
現時点でも深刻な状態は続いているが、ここで、いたずらに不安をかき立てないように、改めて放射能とはなにか、被曝とはなにかについて、基本的なことを解説しておきたい。
 
放射能とはなにか?
 
放射線を出す能力を放射能と呼び、放射能を持つ物質を放射性物質と呼ぶ。
被曝(ひばく)とは、人体が放射線にさらされることをいい、被曝したときの放射線の量の単位をシーベルトSvで表す。
マスコミは、原子力関連施設の事故で「放射能漏れ」と報道することが多いが、この場合の「放射能」は「放射線」を指している。
また、被曝と被爆は異なることにも注意したい。
被爆(ひばく)とは、爆撃によって被害を受けることである。
 
放射線にはどのようなものがあるか?
 
放射線は以下のように分類される。
放射線・アルファ線(α線)
・ベータ線(β線)
・ガンマ線(γ線)
・中性子線
・陽子線
・粒子線(高速粒子線)
・重荷電粒子線
・電子線
・宇宙線
・電磁放射線
・エックス線(X線)


放射線にはこれだけの種類があり、それぞれ透過力が異なっている(上図)。

原子力発電所からは、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線などの放射線が出ており、原子力発電所周辺の放射線量の目標値は年間0.05ミリシーベルト。
しかし実際は、年間0.001ミリシーベルト未満ととても低く抑えられている。放射線は見ることも感じることもできない。
それが私たちの不安材料でもあるのだが、懐中電灯に例えると、放射性物質は懐中電灯、放射線は懐中電灯から出ている光のようなもので、距離や遮蔽物によって減衰する。
大気中にばらまかれたとしても、風向きにもよるが、すぐに重い健康被害を受けることはない。

 
つづく

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