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今週のドクターコラム

No.181
お酒について~1. 健康に与える影響~

 「酒は百薬の長」という言葉があります。もともとは古代中国の史書『漢書』に記されていた言葉で、「適量のお酒を飲んでいれば、どんな薬よりも健康にいい」の意味で広く知れ渡っています。

 疫学の分野においては、適量のお酒を飲むことが健康にプラスの影響を与えることが認められています。食欲増進効果や血行を高めることなどが、大きな要因とされています。医学の分野でも、適度な飲酒は循環器疾患や糖尿病、認知症の発症リスクを低減させるという研究結果が報告されています。

 厚生労働省では、さまざまな研究を集積して検討した結果として「男性は1日当たり純アルコール10〜19g、女性では1日当たり9gまでで最も死亡率が低い」と、適量のお酒を飲む人はまったく飲まない人に比べて死亡率が低いことを明らかにしています。(しかし、適量を超えた習慣的な飲酒によって死亡率が急激に高まることも明示されています。)

 さらに、厚生労働省では「節度ある適度な飲酒」の量を「1日平均純アルコールで約20g程度」と定めています。

 適量(1日平均純アルコールで約20g程度)の目安は、おおまかに下記の通りです。

お酒の種類 アルコール度数
ビール 5度 中びん1本(500ml)
日本酒 15度 1合(180ml)
焼酎 25度 0.6合(約110ml)
ウイスキー 43度 ダブル1杯(60ml)
ワイン 14度 1/4本(約180ml)
缶チューハイ 5度 1.5缶(約520ml)


※アルコール量は「お酒の量(ml)×[アルコール度数(%)÷100]×0.8」の計算式で導き出すことができます。表にない種類のお酒や、より厳密なアルコース量を知りたい場合には、ぜひ計算してみてください。

 体重約60kgの人が適量のお酒を30分以内に飲んだ場合、アルコールが体内にとどまる時間は(個体差もありますが)約3〜4時間です。お酒に弱い人ほど、アルコールが体内にとどまる時間は長くなります。
 日本人は欧米人などに比べ、体質的にお酒が弱い/飲めない人が多く存在します。お酒を飲む機会が多い人は、自分の適量を知るためにもお酒に対する体質をアルコールパッチテストなどで確認しておきましょう。


 適量の飲酒は健康にプラスになる面もあるのですが、適量を超えた過度な飲酒は健康に害を与えます。肝臓病、すい臓病、ガン、高血圧や高血糖などと関連が高いことはよく知られています。大量の飲酒が性ホルモン分泌の障害となることもわかっています。

 厚生労働省は「1日平均60gを超える飲酒」(ビールで中ビン3本、日本酒3合弱に相当)を「多量飲酒」と定義し、多量飲酒者が引き起こすアルコール関連問題が多いことから、多量飲酒者の減少を図っています。

 お酒を飲む時には適量を守り、健康促進の範囲を出ないように心がけましょう。飲み方や適量に関して不安がある人は、担当のドクターにご相談ください。


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