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今週のドクターコラム

No.179
強すぎる眠気にも要注意!

 3年間寝続けた人物が村の危機に大活躍する『三年寝太郎』は、日本各地で語り継がれてきた民話で、絵本でも有名です。その人物と活躍ぶりは「寝太郎まつり」が山口県山陽小野田市で毎年開催されるほど偲ばれていますが、実際の人間は寝貯めをしたり過剰に寝ることでエネルギーを増大させたりすることはできません。

 逆に、過剰に眠気を覚える状態には病気の疑いもあります。病の症状として表れる睡眠状態として、不眠には多くの注意が払われますが、実は過眠も日常的に注意をすべき症状です。


 睡眠不足と同様に、長すぎる睡眠時間で心臓疾患や死亡リスクが高まることは多くの研究結果から明らかにされています。日ごろから長時間の睡眠を取ることへの注意も大切ですが、それ以上に気をつけたいのが、異常なまでの眠気です。


 日常生活に影響するほどの眠気を覚えたり居眠りを繰り返したりすることは、病の症状としての過眠だと考えられます。眠気が抑えられない状態に自分自身が苦痛を覚えるというのが、ひとつの目安です。睡眠不足が続いた後の眠気などではなく、人並みに睡眠を取っているのにもかかわらず、異常なまでの眠気を覚えたり眠気に襲われて居眠りをしてしまったりする状態が、病気の症状としての過眠なのです。


 睡眠障害の国際診断分類として多くの国で採用されている睡眠障害国際分類第二版(2005年)では、睡眠障害が8つのカテゴリーに分けられています。そのうち過眠に関連しているのは、「中枢性の過眠症」「概日リズム睡眠障害」「睡眠時運動障害」などのカテゴリーです。

 具体的な疾患としては、睡眠時無呼吸症候群を含む睡眠関連呼吸障害、突然居眠りをしてしまうナルコレプシーを含む中枢性過眠症、むずむず脚症候群などを含む睡眠関連運動障害などがあります。(むずむず脚症候群については、こちらのコラムを参考に)


 睡眠障害以外にも、過眠の症状が現れる身体疾患や精神疾患があります。身体疾患としては、パーキンソン病や女性の月経関連過眠症などがあります。精神疾患としては、うつ病が代表格です。

 パーキンソン病と過眠の関係については、まだわかっていないことが多いのですが、症状のひとつとして日中に過剰な眠気が生じがちなことが最近明らかになりました。他の症状が夜間の睡眠を妨げることも多いため、日常的な睡眠不足に陥りがちになり、日中に眠気を覚えるようになるという説もあります。

 うつ病の睡眠障害は、一般的には不眠の症状が表れる場合が多いのですが、季節性感情障害非定型うつ病は過眠の症状が顕著に表れます。

 季節性感情障害は「冬季うつ病」とも呼ばれ、寒い時期になるとうつ病の症状が表れ、あたたかくなると自然に回復します。日照時間と関係しているとも言われ、過眠は大きな特徴のひとつです。

非定型うつ病は20代〜30代に多く、過眠は過食や気分の変調とならぶ大きな特徴のひとつです。非定型うつ病については、こちらの健康チェックを参考にしてください。


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