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今週のドクターコラム

No.207
食事よりサプリ?

忙しい時期や海外での生活で気をつけたいのが、食生活の偏りです。

健康を意識する人が増えるなかで、近年増えているのがサプリメントによる栄養補給です。
 「野菜不足だから、ビタミンC」、「睡眠不足でお肌の調子が悪いから、コラーゲンやヒアルロン酸」と、その時々の状態にあわせてビタミンやミネラル、ハーブ、アミノ酸などさまざまなサプリを購入・摂取することができます。

 しかし、サプリの摂取が本当に体の機能向上に役立っているのか、考えたことはありますか? ただサプリを摂取しただけで満足していませんか?


 サプリの中には、経口摂取(飲むこと)による効果が明らかにされていないものもあります。
コラーゲンやヒアルロン酸、グルコサミンやコンドロイチンといった人気のサプリも、経口での栄養効果が医学的に認められているとは言いきれないのが現状です。


しかし効果がないだけであれば、健康に大きな害は及ぼしません。


気をつけなくてはいけないのが、サプリ摂取による危険性です。

サプリには医薬品との相互作用があり、サプリを摂取することで、医薬品の効果が低減したり過剰に高まったりする危険性があるのです。
 薬が効かない、薬が効きすぎて過大な副作用が生じるということです。
医師のもとで加療中の人や常備薬がある人は、特に注意が必要です。

またサプリの過剰摂取によって健康障害が生じる危険性が、厚生労働省によって示唆しています。(通常の食品による栄養素の過剰摂取には健康障害が生じる可能性はないとされています)

一例として、栄養素を錠剤の形にまとめるためにも、サプリには添加物が含まれます。
 摂取したサプリから体が栄養素を取り出す際には、肝臓に負担がかかります。
サプリを大量に摂取することは、肝臓に過度の負担をかけることになり、肝臓機能低下につながる危険性があるのです。

 「ろくに食事をせずにお酒を飲んで、栄養補給はサプリで」などという生活は、明らかな危険信号です。

 さらに、サプリは単一の栄養素しか含まないため、体に与える影響が普通の食材とは違うということにも留意しましょう。

 「日本食品標準成分表2010」によると、ビタミンCの宝庫「レモン」には水分はもちろんカリウムやカルシウム、ビタミンAや葉酸、食物繊維など多くの栄養素が含まれます。

2月に京都大学の研究グループによって不飽和脂肪酸の脂肪燃焼効果が発見された「トマト」には、元来注目が高かったβカロテン以外にもカリウムやリン、葉酸やビオテンなどが豊富に含まれています。

 食材の摂取かサプリか。得られる栄養素自体に違いはないのですが、食材はさまざまな栄養素を含み、サプリは特定の栄養素のみということを忘れてはなりません。

最後に、サプリに関する規定は国によって異なり、必要とする栄養素も人種など体質によって異なることにも注意が必要です。
 
 日本人に適しているのは、日本人のために作られたサプリメントです。

日々の食生活や栄養バランス、サプリメントの摂取方法について不安や疑問がある場合には、担当ドクターまでご相談ください。


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