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今週のドクターコラム

No.53
海外駐在員に増える「大腸ポリープ」~その2

前回に続き、今回は大腸ポリープの治療法についてお話します。
 
■ポリープが見つかったら…
 
大腸ポリープは大腸癌のもとである事がわかっています。癌になってからでは開腹手術が必要で、しかも再発の危険もあります。ところがポリープの段階でしたら内視鏡で簡単に切除ができます。
また、米国で行われた研究によれば、ポリープ切除によって大腸癌が予防できることも証明されています。
しかし、すべてのポリープは切除が必要なわけではありません。
大腸ポリープにはがんの元になるポリープ(腺腫)と、放置してもがんにならないポリープがあります。
ポリープ切除は簡単に切除できはしますが、それは医療サイドの考え方で、患者さんにっとては負担がかかります。切除すべきでないポリープもあります。
よって、ポリープ切除は「ポリープの正確な診断」に基づいて、どう対応するかはケースバイケースといえるでしょう。
その意味でも、日本に帰国して、ドクターから説明を受けて行うことをおすすめします。
 
■ポリープの切除方法
 
内視鏡によるポリープ切除の方法には4つの方法があります。
 
1:ホットバイオプシー
内視鏡検査で組織を摘み取るときに使う鉗子を使ってポリープを切除します。鉗子でポリープをつまみ、高周波の電流を流して焼き切ります。 5mm以下の小さなポリープにしか使えませんが、短時間で簡単に行うことができる治療なので、小さなポリープがたくさんある場合などに使われます。
 
2:ポリぺクトミー
内視鏡の先端からワイヤーを出し、ワイヤーをポリープの「茎」の部分にかけて焼き切る方法です。茎をもつポリープに使われる方法です。 やききった切除したポリープは回収し、後に詳細な組織検査を行います。

3:内視鏡的大腸ポリープ粘膜切除術(EMR)
この方法では平坦なポリープや少し大きめのポリープも切除することができる点が特徴です。内視鏡の先端から注射針を出してポリープの下の粘膜下層という部分に生理食塩水、 HSE(高調ブドウ糖液)、グリセオールなどの液体を注射します。注入することで粘膜下層が固有筋層からはがれポリープの部分だけを浮かび上がらせることができます。 浮かび上がったポリープにスネアワイヤーといわれる投げ縄のような輪をかけポリペクトミーと同様に高周波の電流をつかって切り取ります。
 
4:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
近年急速に発達しつつあるのがESDです。フック状のナイフを使用し病変の周囲を徐々に剥離し剥ぎ取っていく方法です。 まだ何処でもできる治療法ではありませんが、比較的大きな早期癌(がん)を開腹手術せずに切除できるため今後普及していくものと思われます。通常は約1週間程度の入院が必要です。
 
■予防方法は?
 
ポリープを手術したあとは、最低でも1年に1度は検査を継続してください。取り残したポリープがあることも考えると、半年後に再度検査するのをお勧めします。
ポリープ自体の予防方法は、食事と運動がベストです。
1:肉・脂肪を控える 週に3日くらい 魚に変える
2:食物繊維を多くとる サプリでもOK!
3:ヨーグルトをできれば毎日
海外では上の3つを実践してください。
そして、何より1年に1度の検査は必ず受けましょう!


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