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今週のドクターコラム

No.234
「蚊に刺され」で命を落とす?

東京では最高気温が25度を下回る日が続くようになりました。
多くの人が夏前から長い間苦しめられてきた「蚊」も、活動しにくい気温です。

夏の風物詩とも言われる蚊ですが、もっとも活動が活発になるのは25~30度前後なので、最高気温が35~36度にも達する最近の夏はやや活動しにくいようです。
その分、幾分か涼しさをおぼえるようになった秋口になってから、蚊に刺される人が増えています。

毒性が強いとも言われる「秋の蚊」は、俳句の季語になるほど日本人になじみが深い虫です。かつては日本脳炎という重篤な病を引き起こす原因としても警戒されていましたが、最近の日本では「かゆみ」程度の害で済むことがほとんどです。


その安心感が、海外では命取りになりかねないことを、覚えていてください。


蚊は、マラリアフィラリア黄熱デング熱など命にかかわる伝染病の媒介者です。
熱帯・亜熱帯地域は特に、蚊が媒介する感染症が広く流行する地域として知られています。渡航前にマラリアの予防接種を受けたおぼえがある人もいるでしょう。

そのほかにも、今年は夏から秋にかけて、ポルトガル(マデイラ島)や台湾でのデング熱発生、ヨーロッパとその近隣北米ウエストナイル熱の感染者増加などが懸念されています。

外務省が提供する「海外安全情報」サイト内「渡航情報」の「感染症関連情報」ページ(http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/index.html)でも、現在(2012年10月末)も有効な情報として、デング熱ウエストナイル熱の情報が公開されています。


蚊が媒介する感染症は、まず発熱が見られ、その後は悪寒や関節痛、頭痛や筋肉痛など感染したウイルスによってさまざまな症状が表れます。恐ろしいのは、蚊が媒介する感染症が重症化した際の致死率が数%~十数%とかなり高いことです。

発症してしまうと、抗マラリア薬を投与するマラリア以外は抗体がなく、対症療法が中心となります。そのため感染が発覚してから治療に励むよりも、最初から蚊に刺されないための予防が重要です。

お住まいの地域で蚊が媒介する感染症が流行しているときは、長そでや長ズボンの着用を心がけるなど肌の露出をできるだけ少なくするようにしましょう。
また、虫よけスプレーや軟膏による予防殺虫剤や蚊取り線香による事前対策も効果的です。


さまざまな感染症についてより詳しく知りたい場合は、担当ドクターまでご相談ください。

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