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今週のドクターコラム

No.12
慢性疲労症候群

ついこの間、新年度がスタートしたと思ったら、もう5月も中旬です。
皆さんが海外生活で感じる、時の経過のスピードは、日本と比べていかがでしょうか。
日本にあわせてお休みをとって、思いっきり羽を伸ばして心身ともにリフレッシュされた方、ゆっくりと休んだはずなのに疲れが一向にとれない方、海外なので休みがなく、むしろ本国が休みで仕事が滞ってしまい逆にストレスが溜まった方など、様々な方がいらっしゃると思います。
疲れといっても、身体の疲れから精神的な疲れまで様々。
また、休んでも疲れがとれないと、最近よく聞くようになった「慢性疲労症候群」ではないかと心配される方も少なくありません。
このコラムの№10で、疲れの種類についてとりあげましたが、
今週は、その中でも病的疲労の一つとされる「慢性疲労症候群」についてとりあげてみましょう。
 
* ********
疲れがいつも続いている=「慢性疲労症候群」だ、と捉える方がいますが、それは違います。
慢性疲労症候群(まんせいひろうしょうこうぐん)というのは、強い疲労が6ヶ月以上続く病気のこと。
他になんの病気もないのに、疲れそのものが続く病気として、ギリシャ時代からこういう病態があることは知られていました。
しかし、一般の診療で「強い疲労」を訴える人は、半数以上に及びます。
そのほとんどが、他の病気の症状としての疲労を感じており、また、慢性疲労はメンタルな状態からも来るため、
「慢性疲労症候群」という病気が本当にあるのか、
いまだに議論されています。
要するに、慢性疲労はひとつの状態であって、独立した病気ではない、という考え方があるわけです。
だから「症候群」というんですね。
 
しかし、慢性疲労症候群はひとつの病気である、
という考え方をする派もあり、その中心的存在であるアメリカのグループでは、診断基準を作りました。
これを分かりやすく書くとこうなります。
 
A.医学的に説明がつかない疲労感で、6カ月以上持続している。運動が原因ではなく、休養によっても軽減されず、仕事や勉強に支障をきたしている。
B.下の症状のうち4つ以上があてはまる。
1. 物忘れ、ひどい集中力の低下
2. のどの痛み
3. 首またはわきの下のリンパ節に圧痛がある
4. 筋肉痛
5. 2カ所以上の関節に痛みがあるが、腫れや圧痛は認められない
6. いつもと違う頭痛
7. 眠っても疲れがとれない
8. 運動後24時間以上、体調不良が持続する

 
医師として、最も難しいのが、「医学的な説明がつかない」という部分なんです。
こういう患者さんがいたときに、Bは分かりやすくても、何かの病気があってこうなっているに違いない、とあれこれ考えるわけです。
自分の診る限りでは説明がつかないかもしれないが、他の先生なら説明できることもあるわけですからね。
パニック障害やうつ病という診断も、「身体疾患から来ているものではない」ことが前提になっています。
隠された身体疾患をピンポイントで探し当てることができるというのは、やはり専門医でなければむずかしいものです。
とはいえ、慢性疲労症候群とはコレだ!と医学的に解明されるには、実は、まだまだ時間がかかりそうなのです。
海外はただでさえ激務の方が多いので、疲れについては日本にいたとき以上に、敏感にケアしてください。
上に説明したように、病院に言ってもなかなか説明しにくい状況ですので、ご心配な症状は、遠慮なくジェイアイドクターにご相談ください。あなたの症状に適切なアドバイスをさせていただきます。
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