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今週のドクターコラム

No.188
お酒と関節の痛み

  お酒好きにとって、国外に出るのはまた新しいお酒との出会いのチャンスでもあります。好んで飲まれるお酒の種類も国によって異なりますし、ビールやワインなど日本でなじみ深いお酒でも違った種類に出会えます。
 ロシアやポーランドのウォッカ、ギリシャのウーゾ、メキシコのテキーラなど、アルコール度数が高いお酒が有名な地元もありますので、飲みすぎには充分に注意をする必要があります。


 習慣的な飲酒が引き起こす恐ろしい病気のひとつに、関節の痛みが特徴的なものがあります。
 足の親指のつけ根が激しく痛んだことはありませんか? ひじやひざ、かかと、くるぶしなどの関節が、急激に強い痛みを発した覚えはありませんか? 
 それは、痛風の発作かもしれません。

 痛風は、発作が起きると「風が吹いても痛む」ことから「痛風」と呼ばれます。7〜9割のケースで、最初の発作は足の親指の関節に現れます。時間帯としては夜中から明け方が多く、特に暴飲暴食後や激しい運動をした後などに発作が起こりやすいとされています。
 激しく鋭い痛みを覚えると、関節部分が赤くはれ上がり、あとは「風が吹いても痛む」状態がしばらく続きます。気をつけなくてはいけないのが、痛風の痛みは長くても1〜2週間しか持続しないことです。痛みが治まっても進行中の恐れがあるのが、痛風の怖いところです。症状が進行すると、痛みの範囲が足先から徐々に広がっていきます。


 厚生労働省による「メタボリック症候群が気になる方のための健康情報サイト」には、

痛風は高尿酸血症の結果生ずる関節炎です。アルコール摂取により体内での尿酸量が増大し、時に痛風発作となって現れます。高尿酸血症はメタボリックシンドロームとも関連が深く、アルコールの飲み方を再考するよい機会となります


と明記されています。

 日本全国で、痛風の予備軍は500万人とも言われます。また、痛風は圧倒的に男性に多く、女性は全体の1〜2%程度です。(それでも女性も痛風にならないわけではないので、注意は必要です)
 足などの関節に激しい痛みを覚えたら、まずお酒とのつきあいかたを見直しましょう。

 痛風を引き起こす高尿酸血症は、合併症や重篤な障害を引き起こすリスクを増大させます。具体的には、肥満や高血圧、脂質異常症、糖尿病などを合併しやすく、腎障害を引き起こし、心筋梗塞や脳卒中などの大血管症で命を落とす危険性も高まります。

 救いとも言えるのが、高尿酸血症は予防が可能で、予防や治療に関する明確な指針やガイドラインが作られていることです。
 日本痛風・核酸代謝学会が作成した「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」には、薬物治療の対象となる尿酸値が規定されています。また、規定値を超えた尿酸値の人に対する「生活指導」も規定されています。具体的には、食生活の見直しやアルコール摂取の制限などです。水分補給やストレス解消も、痛風予防には重要な要素です。


 痛風は、飲酒を中心とする生活習慣の見直しで予防できます。習慣的な飲酒から痛風の危険性を危惧したり、尿酸値についての詳しい説明や具体的な予防対策が知りたかったりする場合には、担当のドクターにご相談ください。


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