ホーム > 今週のドクターコラム

今週のドクターコラム

No.180
睡眠時無呼吸症候群

本人が気づきにくい睡眠時無呼吸症候群
 
 病気の中には、症状を本人が自覚しにくいものと、自覚しやすいものがあります。症状が自覚しにくいものの多くは他人にも気づかれにくいものですが、中には本人が自覚しにくいのに他人が気づきやすいものもあります。睡眠時無呼吸症候群は、そのひとつです。


 睡眠時無呼吸症候群とは、その名前が示す通り、睡眠中に無呼吸状態に陥る病です。英語ではSleep Apnea Syndromeといい、その頭文字を取って「SAS」とも呼ばれます。

 ここでの「無呼吸状態」とは、呼吸が10秒以上止まることを指します。この無呼吸状態が、睡眠1時間中に5回以上、または睡眠7時間中に30回以上あると、睡眠時無呼吸症候群であると判断されます。

 その他、主な症状としては、次のようなものがあります。
 

     
  • 大きないびきをかく
     
  • 日中に強い眠気を感じる
     
  • 夜中に何度も目覚める
     
  • 起きたときに頭痛がする
     
  • 性欲がわかない
     
  • 記憶力や集中力が低下する
     


 一般的には、自覚症状で気づくよりも、家族などが変則的ないびきに気づいたことが受診につながることが多いようです。


 無呼吸状態を引き起こすのは、空気の通り道である上気道のふさがりです。上気道をふさぐ主な原因は、次の通りです。

     
  • 首まわりの脂肪(太っていて、あごや首に脂肪がついている人)
     
  • 舌(大きい舌を持つ人・舌根が沈みやすい人)
     
  • アデノイド・扁桃肥大
     
  • 曲がった鼻
     
  • 鼻炎(花粉症やアレルギーのある人)
     
  • 小さいアゴ
     
  • 高齢
     
  • アルコールの摂取


 原因によって対処法が異なるのも、睡眠時無呼吸症候群の特徴です。睡眠時無呼吸症候群は太った人に多いと思われがちですが、日本人などはもともとの骨格としてあごが小さい人が多く、やせた人にも見られるので注意が必要です。


 無呼吸状態が度重なる睡眠時無呼吸症候群は、体内に取り込まれる酸素の量を減少させます。それによって、脳をはじめとするさまざまな臓器に悪影響を与えたり、不整脈を引き起こしたりします。

 その他、高血圧や肥満、糖尿病や高脂血症といった生活習慣病を合併することも少なくありません。これらの合併症は、睡眠時無呼吸症候群を増悪させる要因ともなります。
 睡眠時無呼吸症候群は、重症の場合には急死にいたる場合もある病気です。少しでも気になる症状がある人は、担当ドクターにご相談ください。


ご相談はこちらから

カテゴリ



バックナンバー