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今週のドクターコラム

No.202
世界の花粉症

   日本では本格的に花粉症のシーズンに入ってきました。花粉症の予防情報が特集されたり天気予報などで花粉情報が提供されたりと、日本では花粉症への意識はそうとう高まっています。
その一方で広く浸透しているのが「花粉症は日本特有の病気」という誤解です。

日本アレルギー協会による調査によると、日本人のアレルギー性鼻炎の有病率は約15〜20%だそうです。花粉症も鼻炎を主症状とするアレルギー疾患のひとつであることから、花粉症の有病率も15〜20%に近い数値になることが推測されます。
 しかし、アメリカ人の花粉症有病率も約15〜20%と言われており、発症時期も春や秋と日本の状況とほぼ変わりません。


では、なぜ「花粉症は日本特有」という誤解が生まれたのでしょうか? それは、花粉症を引き起こすアレルゲンの違い、そして花粉症研究の歴史の違いが大きく影響しています。

世界的に多く見られるのは、「ブタクサ」または「イネ科の植物」によるアレルギーです。日本で多く見られるのは、「スギ花粉」によるアレルギーです。牧草をはじめとするイネ科の植物やブタクサはヨーロッパや北米でも多く見られるため、アレルギー反応も世界的に広い地域で認められています。古くは1819年にイギリスの医師ボストックが、牧草に反応する「枯草熱」(Hay Fever)を発見しています。
日本では、スギ花粉とアレルギーの関係が1960年代に明らかにされ、以来「スギ花粉による花粉症」という考えが広まることになりました。しかし、日本ではスギ以外にもヒノキやシラカバ、ケヤキ、ブナ、キクなどがアレルゲンとなっていることも、近年は明らかにされています。
つまり花粉症は、アレルゲンとなる物質に差はあれど、世界的に見られる症状なのです。さまざまな花粉に対してアレルギーを持つ人のなかには、一年を通して花粉症の症状に悩まされるケースもあります。

 花粉症の主症状としてよく知られているのは、鼻づまりや透明な鼻水、くしゃみ、目や鼻のかゆみです。そのほかにも、微熱、疲労感、睡眠障害などが見られる場合もあります。
 慣れない土地では、植物に影響を与えられていることを自覚せずに「単なる風邪」「疲労」と思ってしまうことも少なくないようです。

 花粉症は、一度発症したら一生つきあわなければならない病気です。しかしアレルゲンはほぼ特定できますし、症状を軽減させる対策も多く存在します。

鼻炎や疲れやすさは、花粉症のサインかもしれません。早めの対処は、症状を抑えることにつながります。早めに担当ドクターにご相談ください。


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