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今週のドクターコラム

No.212
お酒の飲み方

 「飲んでうさを晴らす」というのは日本人の得意技ですが、お酒の飲み方は国や地域によっても違います。

 2011年にWHO(世界保健機構)が発表した「アルコールと健康に関するグローバルレポート」によると、1人あたりのアルコール消費量が多いのはロシアや東ヨーロッパで、中でももっとも消費量が多いのはモルドバだということです。

「モルドバ」といってもどこの国?と思う方はこちらをご覧下さい。 http://ja.wikipedia.org/wiki/モルドバ

 モルドバの成人1人あたりの年間アルコール消費量は18リットル強で、日本の8リットル強に比べると2倍以上となっています。

 どんだけ飲むのだろう!と驚いてしまいますよね。
 日本人にとって身近な国アメリカは9リットル強、韓国は15リットル弱と、いずれも日本の数値を上回っています。
 海外に赴任すると、お酒が強くなるという方が多いのはこうしたやはりお国柄か、と思ったりします。

 WHOの報告によると、アルコールに起因した死亡はガンによる死亡を大きく上回る年間250万人程度で、東ヨーロッパやロシアでは5人に1人がアルコールが原因で死亡しているという調査結果を示しています。

 酒量が多い国ほど、アルコールによる疾患や死亡の可能性が高いというのは、もはや世界的な常識。
 アルコールの過剰摂取は、生活習慣病や食道ガンのリスクを高めます

 アルコールの飲酒量が平均的に多い国や、食事の際にアルコール摂取が一般的となっている国においては、飲み慣れない日本人でも現地の習慣に従っているだけで、気づかぬうちに飲みすぎてしまいがちです。

 たとえば、欧米などでは待合のバーが併設されているレストランが多くありますよね。 レストランに入ると、席に通される前にバーで1杯食前酒をオーダーし、席に通されてからもお酒のメニューが提示されます。
 その2杯を毎日取り続けるだけでも、厚生労働省などが推奨する「1日あたりのアルコール量(
10グラム)」をオーバーしてしまう可能性があるんです。

 なにより日本人の多くはアルコール分解能力が高くないのです。

 日本人の1割はアルコールをまったく受け付けなく、4割はアルコールに弱い体質を持っています。

 特に女性や高齢者は男性に比べて血中アルコール濃度が高くなりやすく、飲酒後に顔が赤くなる人はアルコール分解が遅いため、そういった人は自分自身でも、また周囲の人もあまりお酒を勧めないように配慮しましょう。

 また、仕事などで飲む機会が多い人は、
一度に大量飲まない
飲むときには食物、同量の水を取る
週に2日は休肝日を作る
の3項目を守るようにしましょう。

 「ついついもう1杯」「わかっちゃいるけど止められない」
と言ってついつい飲みすぎてしまうのは、アルコール依存症の一歩手前かもしれません。

アルコールとの付き合い方について不安がある人やより適切な付き合い方について知りたい人は、担当ドクターにご相談ください。


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