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今週のドクターコラム

No.41
インフルエンザ予防法その3

インフルエンザ6インフルエンザウィルスは直径が1万分の1㎜と大変小さく、くしゃみや咳などの飛沫に含まれて飛散する。この飛散したウィルスは、しばらくの間は、空気中を浮遊し、何かの表面に付着して、感染する機会をうかがっている。ここで重要なのは湿度との関係である。日本で冬になるとインするエンザが流行する大きな理由の一つは湿度の低下である。
 
古い資料であるが、ここにウィルスの生存時間と湿度との関係を示した。このグラフを見て分かるように、湿度が20%、35%の場合、ウィルスの生存率は非常に高い。そして「空の砂漠」といわれる機内の湿度は20%である。すなわち、機内の空気中にはかなりの量のウィルスが漂っているということになる。しかし幸いなことに、機内の気圧は0.8気圧と陰圧である。しばらくすれば機内の空気は排出されてきれいになる。まずは離着陸の時だけマスクをするなど注意をしよう。
 
問題は、座席やトイレ、テーブルなどに付着したウィルスである。これは24時間たってもまだ生きているかもしれない。1個が体内に入ると1日で100万倍に増殖するウィルス。どうしたらいいのだろうか?
 
金属を意識せよ
 
インフルエンザの生存期間が長くなる低湿度の環境では、誰もが至るところで大量のウイルスを吸い込んでいる。ではなぜ簡単に感染しないのだろう。実は、インフルエンザ感染の75%はドアノブ(接触)感染で、クシャミや咳からの飛沫感染は15%ほどと考えられているのである。つまり、飛沫感染は思ったほど多くはなく、接触感染が多いという事実である。特に金属に付着したウィルスは長く生存しやすいので要注意である。
 
接触感染は、粘膜がウィルスと直接接触することで起こる。粘膜?触れることなどないのでは?と思うだろう。しかしこれには無意識の習性が関係している。「人には鼻を触る習性がある」というのがそれだ。鼻がむずむずしていたり、風邪をひいている時には「5分間に3回鼻を触る」という調査結果がある。この際に鼻粘膜を通じてウィルスは侵入する。
 
つまり、感染者のくしゃみ、咳、鼻水などに含まれたウイルスが付着した手で環境中(机、ドアノブ、スイッチなど)を触れた後に、その部位を別のヒトが触れ、かつその手で自分の眼や口や鼻を触ることによって、ウイルスが媒介されるのである。
 
ではもし、機内のトイレを出た後に自分の鼻をうっかり触ってしまったらどうしたいいのだろうか?空気を吸い込む鼻や気道の表面には線毛と呼ばれる無数の細かい毛があり、この線毛がユラユラと動いて、吸い込んだウイルスを気道の奥へ運んでしまう。一度肺に入ってしまうと、1日でそのウィルスは100万倍に増殖してしまう。こんな時にはこうしよう。しまった!と思ったら、すぐに緑茶を頼み、ウィルスを一気に飲み込んでしまうのである。緑茶成分の働きとインフルエンザウィルスはほとんどが胃酸により消滅する。
 


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