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今週のドクターコラム

No.208
強すぎる眠気

 現代人は、睡眠に問題を抱えている人が少なくありません。

 日本では、一般成人のうち約21%が不眠に悩んでおり、約15%が日中の眠気を自覚しているとの調査結果があります。

 3人に1人は睡眠に問題を抱えているということになります。

 

 寝る時間が足りなければ、日中に眠たくなるのはしかたがありません。 しかし十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず日中に強い眠気を覚えるようであれば、それは病気かもしません。

 日中の強い眠気が代表的な症状である「過眠症」は、WHO(世界保健機関)によって睡眠障害のひとつとして区分されています。

 

 

 過眠症は、高齢者層よりも若年者層に多いという特徴があります。また、生死にかかわる病気ではないものの、生活の質に大きな影響を与える重大な病気です。

 

 意思の力では抗えないほど強力な眠気に襲われることで、過眠症の人は大きな不利益をこうむります。判断能力も鈍りますし、 日中に居眠りしていては学業や仕事に支障をきたします。居眠り運転を起こす危険もありますし、 転落や転倒などによって事故に巻き込まれる可能性も高まります。

 

 

 では、日中の眠気が「過眠症」によるものかどうかを確認するには、 どうしたらいいのでしょうか?

 

 まずは、自分で十分だと思う睡眠を取りながら規則正しい生活を続けてみます。 その上で、日中に耐え切れないほどの強い眠気に襲われることが3ヶ月以上続くようであれば、 過眠症の可能性があるので、医師に相談してみてください。過眠症であるかどうかの判断には、精密な検査が必要となります。

 

 過眠症には、大きく次の4種類があります。

1)行動誘発性睡眠不足症候群

慢性の睡眠不足によって日中に過眠が出現する状態ですが、 睡眠不足の自覚がない場合が多いようです。平日の睡眠時間が34時間で、週末など休みになると1012時間も眠るという特徴があります。

2005年に睡眠障害国際分類第2(ICSD-2) に新たに認められた、比較的新しい概念です。

 

2)ナルコレプシー

日中に繰り返される居眠りがほとんど毎日、何年間にもわたって続きます。 通常であれば居眠りなどしない会話中などにも、数分程度眠り込んでしまう睡眠発作に襲われます。 また、強い感情の動きにともなってがくんと力が抜ける情動脱力発作が起きたり寝入った直後に寝入った 幻覚や金縛りにあったりするという特徴もあります。

10代〜20代で発症することが多く、 時の経過とともに改善する傾向はありますが長い年月(ほぼ一生)持続します。日本人の有病率は世界でも高く600人に1人程度(世界平均は2000人に1人程度)といわれています。

 

3)特発性過眠症

ほぼ毎日繰り返される1〜数時間にわたる日中の(ナルコレプシーより弱めの)眠気に加えて、 夜の睡眠時間も長くなります。脱力発作や入眠時の幻覚などを伴いません。

多くの場合は25歳未満で発症し、朝の目覚めの悪さ、 頭痛やめまいなどを伴います。

 

4)反復性過眠症

ナルコレプシーより弱めの眠気に襲われ、毎日 15時間以上眠り続ける日が数日〜2週間程度続き、 通常の生活が続いた後にまた眠り続ける時期が訪れるということを周期的に繰り返します。

青年期に発症することが多いですが、年齢とともに症状は緩和し、 自然に消失すると言われています。

 

過眠症以外にも、過眠の症状を起こす病気は多くあります。

 

症状としての過眠や過眠症についてより詳しく知りたい人は、 担当ドクターにご相談ください。

 

 

 


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