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今週のドクターコラム

No.232
「10月10日うつ」に注意!

 10月に入ると、日本はいよいよ秋も本番です。食欲の秋スポーツの秋読書の秋などと言われますが、実は「うつ」の秋でもあるというのが精神科医の実感です。

 特に気にかけたいのが、10月10日。
日本では「体育の日」として長く親しまれてきた日ですが、国際的には「世界精神保健デー」でもあります。
世界保健機関(WHO)は、現在世界でうつ病に苦しむ人が全人口の約5%にあたる3億5000万人以上いるとの推計を発表しました。
うつ病に苦しむ人は今後も増えると予測され、世界的にもうつは非常に大きな問題として考えられています。


そこで気をつけたいのが、「10月10日うつ」です。10月10日その日にうつになるというわけではないのですが、秋の気配が色濃くなるこの時期に、うつ状態を自覚する人が増えるということです。


実際の医療現場では、うつ状態を訴える患者が増えることで秋の訪れを感じるという面があります。9月の後半から10月の中旬という「10月10日」の前後では、うつ状態を訴えて精神科を受診する人が通常の何倍にも増えます。
毎年この時期につらさを覚える人もいれば、数年ぶりに不調を訴えるような人もいます。

 多くの場合は、8月の後半から頭痛や食欲不振、胃もたれやだるさなどの体調不良を感じ始めます。夏の暑さや夏休みによる生活リズムの変動などで、一時的に体調を崩す人と似たような不調です。そのため、単なる「夏バテ」だと思い、放置してしまう人もいるのですが、9月の中旬以降に、抑うつ状態や不眠、意欲や思考力の低下といった精神的な症状が現れるようになるのです。


 体調不良が一時的で収まらずに長引くようならば、要注意です。できれば、本格的に「うつ状態」を引き起こす前に、予防策を講じられるのが一番です。

次回は、「10月10日うつ」を回避するにはどうしたらいいのかについて、お伝えします。

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