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受動的視覚で眠れなくなる!?

 「就寝30分前にはテレビやネットなどの視覚刺激は避けましょう」という話は、よく耳にすると思います。寝つきをよくするためには重要なことなので、詳しく仕組みを見てみましょう。

 

 眠りをスタートさせるスリープアクティブニューロンは、大脳より下の脳幹(のうかん)という場所にあります。人間は、大脳が大きく発達した動物なので、スリープアクティブニューロンが活動しても、大脳の働きが鎮まらないと睡眠に入ることができません。大脳を活動させたままでは、スリープアクティブニューロンがいくら活発になっても、大脳と脳幹とのせめぎ合い状態になってしまい、ボーっとした状態が続くだけで、眠りにつくのがどんどん遅れてしまいます。

 

 特に大脳を活発にさせてしまうのは、どんな刺激なのでしょうか。人間の感覚は、能動的なものと受動的なものに分かれます。視覚では、読書をしているときのように、自分がどこに目を向けるかを能動的に決めている場合(能動的視覚)と、テレビのように動いた場所に受動的に目を向ける場合(受動的視覚)です。人間が動物だったときのことを考えてみると、能動的な視覚を使うのは、えさを探すときで、受動的な視覚を使うのは、敵が襲ってきたのを発見するときです。

 

                     

 

 このように、受動的な視覚には、自分に危害を加えるものがないかを監視する役割があるので、この系統を使用しているときの脳は、強く興奮します。テレビやネットは、読書などに比べて脳の興奮が醒めにくいということです。

 

 日常生活の中で、目を奪われている場面が多いほど、脳は強く興奮して疲労します。休憩中に遠くのテレビを観ていたり、特に用事がなくてもケータイやスマホをチェックすることは、無駄に脳のエネルギーを消費してしまいます。

 

 眠る前の安心できるはずの時間に、わざわざ敵を発見する機構を使わなくても済むように、テレビやネットの刺激を遠ざけましょう、ということですね。

 

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