ストレスで眠れない?眠れないからストレス?
「ストレスが溜まって眠れません」という話をよく伺いますが、
医学的には、「眠っていないとどうでもよいことまでストレスに感じる」という順番です。
ストレス反応は、外部から侵入した菌に対して、
副腎皮質刺激ホルモン、グルココルチコイド(コルチゾール)などを放出して、
サイトカインというタンパク質を使って菌をやっつけます。
これが免疫システムです。
しかし、そもそも菌が侵入していないのにこの働きが起こるのが
「精神的ストレス」です。
【ストレスを受けると脳はどうなる?】
菌が侵入していないのにグルココルチコイドが放出されすぎるとどうなるか。
グルココルチコイドをキャッチする受容体が多い、海馬(かいば)の神経が攻撃されてしまいます。
海馬は、ご存知の方も多い記憶をつかさどる部位。
急性のストレスや慢性のストレスを受けた人の脳画像では、この海馬の部分が痩せてしまっています。
精神的ストレスは、脳にダメージを与えてしまうということです。
【ストレスと睡眠不足の関係は?】
では、単純に健康な人の睡眠を奪うとどうなるか。
睡眠不足になると、脳の働きが低下して、敵を発見する偏桃体(へんとうたい)が活発になります。
また、睡眠中に分解できなかったタンパク質が異常タンパクアミロイドβになって
海馬の神経を攻撃します。
扁桃体は、免疫システムを活発にさせ、海馬は、免疫システムを抑制する役割。
ですから、睡眠が不足しただけで、免疫システムが暴走して、さらに海馬が攻撃される。
ストレスを受けるような環境にいない人でも、睡眠を奪われるだけで、
ストレスを受けている人と同じ脳の状態になってしまうのです。
ストレス、睡眠不足、うつ病は、脳の仕組みから見ると共通点が多いです。
この3つの中で、唯一自分で対処できるのが、「睡眠」です。
睡眠セルフケア能力を高めて、ストレス、うつ病の予防をしていきましょう。